「大きな木の家」の秋号をお届けします。
暑い暑い夏でしたね。
そして9月半ばの今も、まだ猛暑のような日々が続いています。日本をとりまく環境はますます暮らしにくくなっているようですね。
でも、そんな中でも、ひとときをご一緒に過ごせたら嬉しい、そう思ってまた「大きな木の家」の扉を開けてお待ちします。 “「大きな木の家」第3号をお届けします。” の続きを読む
ウクライナで出版された本『ひらかたゆ……』
片山ふえ
ひらかたゆ 笛吹きのぼる近江のや
毛野(けな)のわくごい
笛吹きのぼる
日本書紀に出てくるこの古歌が、私の「ふえ」という名前の源であることは、「We Love遊」に書いたことが2度あるので、覚えていてくださる方があるかもしれません。
(6号に掲載した「ひらかたゆ……」はこちらでご覧いただけます)。
実は先ごろウクライナのキーウで一冊の日本紀行文が出版されました。その本の題名は “Японія. З хіракати під голос флейти… “これを訳すと、なんと『日本 / 枚方ゆ笛ふきのぼる……』なのです! “ウクライナで出版された本『ひらかたゆ……』” の続きを読む
もうひとつの故郷フローレス 参の巻
命がけのホスピタリティ
青木恵理子
2023年に新型コロナウイルス流行による海外渡航の制限がなくなり、夫と私は再びフローレス島の「家族」たちのもとを訪れるようになった。私たちが取得するのは、観光や親せき訪問のためのヴィザ(滞在許可)。滞在できるのは最長30日間。これを最大限生かして、私たちは、2023年は10月初めから11月初めまで、そして今年2024年は7月末から8月末まで、その大部分の期間をフローレス島の家族とともに暮らした。そしていつものように、フローレスへの行きかえりには、国際観光地バリ島で2,3日のリゾート気分を味わった。 “もうひとつの故郷フローレス 参の巻” の続きを読む
『あしながおじさん』
大人が読む少年少女文学全集 第3巻
狩野 香苗
読んでから見るか、見てから読むか――そんなコピーが大流行したのは、今から半世紀も昔のことだ。ベストセラー小説が舞台化されたり、映画の原作がベストセラーになったりと、出版と映画や演劇が互いに刺激を与えながらブームを作るという手法は昔からある。
アメリカの女性作家ジーン・ウェブスター(Jean Webster、1876-1916)が1912年に発表した児童文学『あしながおじさん(Daddy-Long-Legs)』は、今も読み継がれているが、同時に映画やアニメ、舞台などの視覚化も盛んで、「読んでから見るか、見てから読むか」と、悩んだ人も多いのではないだろうか? “『あしながおじさん』” の続きを読む
吉水法子の貼り絵の部屋
J.ウェブスター『あしながおじさん』によせて
吉水法子
マルク・シャガール「私の人生」第2章
マルク・シャガール「私の人生」~両親、妻、故郷の町へ
第2章
角 伸明 訳 “マルク・シャガール「私の人生」第2章” の続きを読む
ヤクートでの新学期
ミルチャ アントン
原文のロシア語は、訳文のあとにあります。
9月になった。
これはロシアでは、秋の訪れだけではなく、新しい学年の始まりを意味する。そう、ロシアの子どもたちの新年度が始まるのは、ソビエト時代から、日本とは違って桜の咲く春ではない。枯れ葉が地面に散り落ちて、それを高みから見た空がやれやれ嘆かわしいことだわいとでも言うように顔をしかめる、そんな季節なのだ。楽しくて晴れやかな夏が終わり、ロシアの多くの地域では冷え込む日も出てくる。この時期に多くの子どもたちが「学校に行きたくない症候群」のようなものにかかるのは、そのためかも知れない。 “ヤクートでの新学期” の続きを読む
3)三上山の大ムカデ(百足)退治伝説
桑山 ひろ子
~生まれ育った滋賀県や、現在住んでいる岡山県の伝承を訪ねてみました~
故郷を離れて半世紀以上経つというのに、いまだに「滋賀」「近江」と目にしたり耳にすると、「お!」と立ち止まってしまう。
本稿の1回目で、総社市無形民俗文化財60編の中の「草津の姥餅」を紹介したが、またまた「近江」を発見した! “3)三上山の大ムカデ(百足)退治伝説” の続きを読む
PHOTO 祇王寺 (京都)
「ユーラシア放浪」3
ポーランドでの1週間
畔上 明
1989年11月10日ベルリンの壁崩壊のニュースは、私にとって人生の大きな転機となりました。
当時の私は、1970年代から80年代にかけてソ連との貿易、旅行、流通にかかわる仕事のことごとくで挫折を味わい、20代から30代にかけて七つもの職を転々としていたのですが、ベルリンの壁崩壊の後まもなく、北欧の現地ツアー手配会社「ツムラーレ」から誘いを受けたのです。39歳、不惑を迎える直前のことでした。 “「ユーラシア放浪」3” の続きを読む