吉水法子の貼り絵の部屋 5

フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』によせて
吉水法子

めまぐるしく展開する時間の変化に追われて筋を追うのが精一杯。読み終わったものの最後までその世界に馴染めず、おぼろげな絵のイメージは掴んだのもののなんだかモヤモヤ・・

不思議なことですが、二度目に読んだときはトムが月の光に浮かぶイチイ木の枝をかきわけるように、お話の中にどんどん入り込んでいきました。そこには少女時代も、成長しても魅力的なハティがいつも待っていたような気がします。

「かわらないものなんて、なにひとつないものね。わたしたちの思い出のほかには。」 “吉水法子の貼り絵の部屋 5” の続きを読む

「ユーラシア放浪 ⑤」

旧ユーゴスラヴィア 
畔上 明

「オリエント急行」に揺られて16時間、ハンガリーから東南東のルーマニアへとやって来たのは1976年5月4日の昼、横浜港出航からは40日目のことでした。そして首都ブカレストに7日間、ブルガリアの首都ソフィアに6日間滞在、5月16日にはソフィアから「イスタンブール急行」でユーゴスラヴィアへと入国しました。 “「ユーラシア放浪 ⑤」” の続きを読む