大人が読む少年少女世界文学全集 第4巻
狩野香苗
◆まったく読んでいないのに、読んだ気になっている本
いままでここで取り上げた3冊の本には、それぞれ自分なりのこだわりがある本だった。
『飛ぶ教室』は夢中で読んだのに60年たって内容をすっかり忘れてしまった本『十五少年漂流記』は読書の喜びに目覚めて何度も繰り返し読んだ本
『あしながおじさん』は本より舞台の印象ばかり残っている本
いずれも抄訳でなく完訳をしっかり読んだし、子ども心に大きな印象と影響を与えてくれた、忘れられない本だった。
ところが、今回のバーネット(Frances Eliza Hodgson Burnett, 1849年~1924年)作『秘密の花園(The Secret Garden)』は、まったく読んだことがないのに、すっかり読んだ気になっているという、ちょっと問題のある本なのだ。
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