もうひとつの故郷フローレス 六の巻

青木恵理子

若気のいたり、極意をはずす!?

1972年4月わたしは晴れて大学に入学した。団塊の世代のように「四当五落」――若い世代の方のために説明しますと、4時間睡眠なら合格するけど5時間睡眠とると不合格という受験勉強態勢を示す標語のようなもの――ということはなかったけれど、闇雲に受験勉強したせいか、合格を知ったとたん、嬉しさのなかになぜか虚しさが芽生え、膨らんでいった。合格発表から数日後には、虚しさがどっかりとわたしのなかに腰を下ろしていた。 “もうひとつの故郷フローレス 六の巻” の続きを読む

消えたトゥーランドット姫

片山ふえ

『トゥーランドット』。
フィギュアスケートのBGMなどですっかりその名がポピュラーになったプッチーニのこのオペラは、今年で初演からちょうど百年目を迎えるという。
折しも、今号発刊直後の1月17日には、キーウからウクライナ国立歌劇場が大阪にやって来て、この歌劇を上演する。 “消えたトゥーランドット姫” の続きを読む

ボルシチ随想

萩 庵敦 (Антон Хаги)

ロシアときいて世界中の人が真っ先に思い浮かべるのは、ウォッカにクマ、そしておそらくはボルシチだろう。強い酒にも、危険な獣にも興味がないボクだが、ボルシチはすべてのスープの王様だと思っている。少なくとも、ロシア、いや旧ソ連圏におけるすべてのスープの王様だ。
“ボルシチ随想” の続きを読む