もうひとつの故郷フローレス 参の巻

命がけのホスピタリティ
青木恵理子

2023年に新型コロナウイルス流行による海外渡航の制限がなくなり、夫と私は再びフローレス島の「家族」たちのもとを訪れるようになった。私たちが取得するのは、観光や親せき訪問のためのヴィザ(滞在許可)。滞在できるのは最長30日間。これを最大限生かして、私たちは、2023年は10月初めから11月初めまで、そして今年2024年は7月末から8月末まで、その大部分の期間をフローレス島の家族とともに暮らした。そしていつものように、フローレスへの行きかえりには、国際観光地バリ島で2,3日のリゾート気分を味わった。 “もうひとつの故郷フローレス 参の巻” の続きを読む

『あしながおじさん』

大人が読む少年少女文学全集 第3巻
狩野 香苗
読んでから見るか、見てから読むか――そんなコピーが大流行したのは、今から半世紀も昔のことだ。ベストセラー小説が舞台化されたり、映画の原作がベストセラーになったりと、出版と映画や演劇が互いに刺激を与えながらブームを作るという手法は昔からある。
アメリカの女性作家ジーン・ウェブスター(Jean Webster、1876-1916)が1912年に発表した児童文学『あしながおじさん(Daddy-Long-Legs)』は、今も読み継がれているが、同時に映画やアニメ、舞台などの視覚化も盛んで、「読んでから見るか、見てから読むか」と、悩んだ人も多いのではないだろうか? “『あしながおじさん』” の続きを読む

「ユーラシア放浪」3

ポーランドでの1週間
畔上 明

1989年11月10日ベルリンの壁崩壊のニュースは、私にとって人生の大きな転機となりました。
当時の私は、1970年代から80年代にかけてソ連との貿易、旅行、流通にかかわる仕事のことごとくで挫折を味わい、20代から30代にかけて七つもの職を転々としていたのですが、ベルリンの壁崩壊の後まもなく、北欧の現地ツアー手配会社「ツムラーレ」から誘いを受けたのです。39歳、不惑を迎える直前のことでした。 “「ユーラシア放浪」3” の続きを読む

「大きな木の家」第2号をお届けします

今年の1月15日に産声をあげたこの電子雑誌「ふえと大きな木の家」。嬉しいことに、たくさんの方に読んでいただけたようで、意を強くして第2号をお届けします。(年に3回、1月、5月、9月の15日発刊予定です)。
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今回も、バラエティ豊かなテーマが並びました。お楽しみいただけたら嬉しいです。
(大きな木の家の編集者より)

「ウクライナの芸術家たちは今……」

片山ふえ

ウクライナ侵攻が始まって2年がたった今年の2月、私はあるビデオを発信しました。題して「ウクライナの芸術家たちは今……」
https://youtu.be/jtLJdGYgLg4
もうご覧くださった方、ありがとうございます。
まだの方は、ぜひここでご覧ください。今回はこのビデオにまつわる話を……。 “「ウクライナの芸術家たちは今……」” の続きを読む

「丹波歌人」のこと  

 


「We Love 遊」の連載で長年ご好評をいただいた小西すずが、「大きな木の家」にもやってきました!(編集部)

「丹波歌人」のこと                            小西 すず

はじめに
京都府の北西部、由良川流域に拓けた福知山市は、人口7万人余、明智光秀によって築かれた城下町です。
古来より「丹波」と呼ばれてきたこの地に永年にわたって発刊され続けている「丹波歌人」という歌誌があります。 “「丹波歌人」のこと  ” の続きを読む

ケーキの想い出いろいろ

ミルチャ アントン

ロシア語の原文は日本語訳の後にあります。

今年もいよいよ夏がやって来た。また暑くなるから、それに備える心構えを始めた。必要なのは、体調をととのえて、ついでに何キロか減らすこと。そう、ダイエットをするんだ。
そして、いつものことだが、明日からランニングを始めてカロリー制限もしようと決心すると、そんなときに限って、寝る前に美味しそうなケーキがいろいろ頭に浮かんでくる! “ケーキの想い出いろいろ” の続きを読む

2)桃太郎伝説

桑山ひろ子
~生まれ育った滋賀県や、現在住んでいる岡山県の伝承を訪ねてみました~

「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。」と聞くと、なんの話をおもいうかべるだろう。
ほとんどの人が、そらで「ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯にでかけました。おばあさんが川で洗濯をしていると、向こうのほうから大きな桃が~」と続けていけるのではないだろうか。その話をしてくれた人の声や部屋の中の明暗、においなどを思い出しながら。
今、機械や機械音に囲まれ、ほとんど声を発しなくても生活が完結する世の中だからこそ、子どもたちにこのような口承文芸を残してやりたいと思う。 “2)桃太郎伝説” の続きを読む